日々の雑感、他愛ないこと。印のように記してみたり。日々の呼吸を此処に。

(6月からお休みしていましたが、再開しました。)
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鬼灯


 ひと晩水に浸けた百合や鬼灯は頼りなかった首を戻していた。
 かあさんがともだちに貰った鬼灯の葉には虫の卵が沢山ついていた。其れを外の水道で洗い虫のついた葉を一枚一枚除き、蘇鉄と一緒に花瓶に活け玄関に置いた。あとでかあさんに鬼灯の葉は全部除いてよいのだと言われたけれど、其の侭にした。小振りの薄紅色の花を咲かせた百合は別の花瓶にハリエンジュらしき白い花と一緒にし、父に供えた。
 いい盆になりそうだと線香をあげていると、脇に置いた期間限定だと言う東京ひよ子の塩ひよ子(小豆餡)の包みを見乍らかあさんが、限定の味だと気付かずに此れ好きなんだけどとぽそりと呟き残念がっていた。どうやら伯父の家に持っていくつもりでいるらしい。あたしはあたしで、自分も食べてみたかったのでふたつ買ってくればよかったと想いがっかりした。けれど、其れもいつものことでいい盆になるには違いない。
 一生忘れない人とは、幾度も思い出し、思い出す都度胸の内に明かりを灯す人を指すのだろうか。苦しんだ人のことなど拾年で顔にしろ癖にしろ声にしろ其の人を形作るものは無くなってしまったと云うのに。

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