日々の雑感、他愛ないこと。印のように記してみたり。日々の呼吸を此処に。

(6月からお休みしていましたが、再開しました。)
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颱風の夜


 憶えている限りでは、父が亡くなってから裏のシャッターは閉めたことがない。周りに置いてある鉢を片付け参枚ともシャッターを下ろした。下ろしたと言っても内弐枚は完全に下までつかず伍センチも開いていた。上げるときに簡単だから其れでいい、とかあさんが言うので無理に下ろしもしなかった。
 夜更けに何か転がるような音が聞えていたけれど、シャッターの外側でしていると判り毛布を抜けることはなかった。そうやって風や物音に幾度となく目を覚まし、壱段と空気が冷えてきたと想う頃深い眠りに入ったようだった。
 目が覚めたのは間も無くだったかと想う。町で配られたラジオから町で流している放送のサイレンが鳴り響いた。かあさんの家は何事も無く済んだけれど、壱度雨で浸水した町に不安を覚え耳を傾けていると、火災発生、との声が続いた。なんでこんな夜更けに、然も颱風の夜に火を扱ったりする家があるのだろうか、と不思議に想ったり、付け火を心配したり、何か腹立たしい気持ちにもなったり、した。其れで壱度父の方を見てから再び目を閉じることをした。
 それからは朝まで夢も見ずにぐっすり眠った。

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