日々の雑感、他愛ないこと。印のように記してみたり。日々の呼吸を此処に。

(6月からお休みしていましたが、再開しました。)
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青い鳥


 ひとりぼっちだと想っている子は星の数ほどいるだろう。そして星の数ほどいると知ってもひとりぼっちがなくなるわけじゃない。
 壱日壱話づつ読もうと想ったのに、重松清の「青い鳥」を読み始めたら結局其の日のうちに読んでしまった。ひとりじゃない、なんて云うのは其の人の想いだからそうして傍に来られてもあたしはそう想わないけれど、ひとりぼっちとひとりぼっちがたまに逢ったり話したり、弐度と逢えなくても其の人が忘れられない人になるのは好きだ。

 炬燵を片付けた和室に珈琲カップを置く卓が欲しくなり、以前雑貨屋で見た軽くて簡単に脚を取り付け組み立てられる卓を買ってきた。そして珈琲カップを置く前に、「青い鳥」を乗せた。
 「青い鳥」を読むと、高校のときクラスが一緒だったMくんを思い出す。静かでやさしそうな人だと想っていたけれど、特に気に留めるでもなかった。Mくんは利き手を治され吃音になったと聞いたことがあったけれど、そんなふうにMくんが言葉を発するのをあたしが聞いたのは壱度だけだった。其のときあたしは机の下で両手をぎゅっと握っていたのを何故かはっきり憶えている。卒業しクラス会が何度かあった。行きたくなかったけれど家の近くの店が会場になることが多く毎回欠席できず、其の日出席するとMくんが来ていた。あたしは高校も無口で通したけれど、後で知ったことには何故かすごぶる頭の切れる人に想われ男の子は特に怖がって眼も合わせられなかったのだと云う。なのに其のとき彼はあたしに、可愛らしいアイドルの内気な女の子の気持ちを綴ったような歌をうたったらと勧めた。冗談でもなくからかっているのでもないのは、彼を見ればわかった。
 例え間違っていたにせよ、自分の眼で物を見て決めることをあたしはMくんに教わった。「青い鳥」に出てくる先生はあたしの中でMくんと重なっている。

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