日々の雑感、他愛ないこと。印のように記してみたり。日々の呼吸を此処に。 忍者ブログ

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雷雨


 夕刻間際の時間だった。カーテンを大きく揺らし、台所の窓辺に置いたつり下げ籠を落とした突風は、激しい雨を連れてきた。雨はやがて雷雨となりますます激しさを増すので硝子戸を閉めようか迷ったけれど閉めなかった。軒下が充分ある家はいい。雨音を耳に入れ乍らぼんやりと雨の降る様子を眺めていられる。腰を下ろすと軒下に自然と足を投げ出していた。濡れてしまうかなと想ったのに、たいして雨は掛からず気にするほどでなかった。
 雷鳴は小さく雷光も恐ろしくなく、投げ出した足をぶらぶらさせて雨を眺めているうち、空気が変わってきたのを感じた。昼間暑かった。湿度が低ければ我慢もできるが、36.8度まで上がった体温が鬱陶しく頬が熱く軽い頭痛もしていた。何時の間にか其れが消えていたから弐度は気温が下がったろう。
 子供の頃縁側でやっぱり雨を眺めて過ごした憶えがある。雨の匂いをおもいきり吸うと、腕は猫を探していた。そう云えば亀たちはどうしているだろうと、和室から洋室の軒下に移動すると、何事も無かったように亀たちはいつものように其々の水槽の中で石に上がりじっとしていた。そろそろ亀たちを家の中に入れようかと想う頃、雨は小降りに変わっていた。残念乍ら虹は掛からなかったけれど、夏の匂いで満ちた日だったと想うと浮かれたらしく、遊びすぎた子供みたいさ・・・、とストリート・スライダーズの「エンジェル・ダスター」を口遊んでいた。
 此の家で、季節のうつろいを存分に感じていた頃に少しだけ戻っていくようで、何かにつけ足を止めてしまっている。

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