日々の雑感、他愛ないこと。印のように記してみたり。日々の呼吸を此処に。

(6月からお休みしていましたが、再開しました。)
忍者ブログ

頁を戻る頁を捲る

雨と梔子


 梅雨入りが発表されて壱週間、目覚めると小雨が降っていた。肌寒くなった気温に暫く衣文掛けに下げ放っておいたパーカーを着た。紫陽花は咲いたけれど梔子はまだ咲いていない。きっと雨が足りないのだろう。紫陽花が雨に似合うと聞くけれど、紫陽花は晴れた日でも元気な顔をしているように見える。本当に雨に似合うのはあたしには梔子のような気がしてならない。或の匂いも雨の中でいっそう煙るように辺りに拡がるように想う。
 毎日ぽつぽつといろいろなことがあって息苦しいものが胸に溜まっていくけれど、机に雑記帳を拡げ鉛筆を手にすると胸から飛び出してくるのは雨だとか花だとかそんな他愛無いものばかり。重苦しいもので胸がいっぱいになってもあたしは胸だけでできているわけでなく、眼や耳や鼻や足で捉えたものが胸を突けば関心はそちらの方へ動いていく。あたしの悦びと悲しみはとても似ていて、どちらも忌み嫌うものを冷めた視線で見ている。
 引っ越してきてから買った随分と可愛らしい折り畳み傘をいつおろそうか、そう云うことを考えれば考えるほど息苦しいものを与えるものは「違う」と想い、また実際違うものになっていく。自分に都合のいいことばかりしている人があたしの内で消されていく。要らない人間などいないのだとよく耳にするけれど、あたしは世界の壱分であってもあたしは世界と異なり、雨さえあたしに手を貸してくれている。

拍手

      郵便箱

   
      * メールは表示されません