日々の雑感、他愛ないこと。印のように記してみたり。日々の呼吸を此処に。

(6月からお休みしていましたが、再開しました。)
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 首から肩に掛け弐センチほどのほつれを赤煉瓦色のセーターにみつけ、茶色の絲で絡めて縫った。ほつれは後ろ身頃側なので上着を脱がなければ平気だとも想ったけれど、ひとつしかない釦を縫い付けてみると案外似合っていた。
 中原中也の月夜の浜辺の詩が好きなこともあるのかもしれない。気付けば釦が随分引き出しの中に溜まっていた。買ったものもあるけれど、多くは廃棄するに至ったシャツやパジャマから取った。編んだカーディガンの釦にしたりほつれの仕上げに縫い付けたりしても、まだ余っている。一生困らないくらい数はあるかと想うのに、大きさが合わず年中釦付けには頭を抱えている。

 物が時々淋しそうに眼に映る。其れが落ちたり取れたりするものだったら尚更のこと。彼らはものなど言わず泣いたりも笑ったりもしない。けれど、あたしたちと同じように時間を持ち時間を刻んでいる。
 時間はどんなものにも愛着を持たせてくれるのだろうか。動かせないままの首で釦と一緒に部屋に転がっていると、そんなことはどうでもよくなり釦のように自分もただ静かなものなっている。

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