日々の雑感、他愛ないこと。印のように記してみたり。日々の呼吸を此処に。 忍者ブログ

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郵便箱


 郵便箱にたまに差出人がわからず何も入っていない封書が入っている。消印もない手紙なので何の辺りから届いたのかも全くわからない。鳥が休もうとしたとき誤って封書が落ちたり、羊の鼻先があったたりした拍子にうっかり封書が入ってしまったりするときもあるだろうけれど、人が言葉の代わりに封書だけ置いていくこともあるかもしれないと想うと、郵便箱を外す気になれずにいる。
 そんな郵便箱に昨日差出人の無い手紙が壱通届いていた。

 言葉を貰うと云うことが其の人が自分の壱部を切り取り与えてくれるものだと気付くのに、あたしは随分時間が掛かった。沢山手紙を貰い沢山手紙を送っているうち神経が麻痺してしまったのだろうか。其れはとても恐ろしいことで、そうなると言葉はわかりやすく記号化されたものだけのものとなってしまう。自分でははっきりとわからないけれど、あたしは独特な言葉の捉え方をしているときがあるらしい。たぶん其れはものの考え方に因るものではないだろうかと想うのだけれど、同じひとつの言葉でも他人と意味が微妙に異なり頭を痛めたりしている。けれど、其れは言葉で会話しようとするからで、相手と会話しようとする人に其のことで頭を痛めたことは此れまで壱度もない。

 郵便箱に手紙を入れてくれた人は、季節のうつろいに想いを馳せるのが好きで旅も好きとの自己紹介があり、結びに寒さに負けずふぁいとですと書いてくださっていた。暗くなった電球の灯りを取り替えたようにあたしの胸は明るくなり、もし此の方が文を綴っているならふれてみたいと想った。
 どんな小さなことでも何かだいじにしている人、だいじにしようと想っている人、の持つ言葉(から読み取れるもの)が好きだ。そんな人の言葉にならない、言葉にしないものの隙間から覗く言葉(にうかがえるもの)はぬくい。

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