日々の雑感、他愛ないこと。印のように記してみたり。日々の呼吸を此処に。 忍者ブログ

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草花によせ


 越してきて覘くようになった花屋には、とうがらしだの玉蜀黍だの栗の実だのも花束になって売られている。迷って迷って結局買わなかったりするくせ、いつのまにか参日に壱度は店を覘き筒に其々入った花束をひと通り眺めて過ごすようになった。
 処分品のコーナーを覘くと今日は、吾亦紅が置いてあった。もうそんな季節になったのかと想い買い求めた。毎年吾亦紅を買ってきては水を入れず壜にそのまま挿し乾燥花にするけれど、翌年には花が落ちて茎だけが残る。
 吾亦紅は生まれた家の庭にも咲いていた。其の頃は名前なんて知らなかった。赤い実と見間違えそうなまるく小さな花をただ可愛いと想っていた。千坪はあったろう。放っておくとすぐ草でいっぱいになってしまう庭には、おみなえしだのかやつり草だのはこべだのすみれだのが沢山生えた。昆虫をみつけよく泣いたりもしたけれど、何をするでもないのに庭で過ごすのがあたしは好きだった。そうしていると靴を履いているのが煩わしくなり、冬でも裸足になり庭にいた。
 じかにふれることや其の感触、そして其処から生じる胸を満たすやわらかな光のようなものを庭や田畑に生えていたような草花を見ると思い出す。そして、其の都度窮屈に感じる靴の踵をこっそりつぶしてみたりしている。

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