日々の雑感、他愛ないこと。印のように記してみたり。日々の呼吸を此処に。 忍者ブログ

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花のにおう町


 今朝雨戸を開けると金木犀の香がした。そのことを昼間思い出し、町をあちこち歩いてみた。参駅の中頃に越してきた家はあり、駅をみっつも利用できるようになった。それだけ買い物などするには便利な地域であり、歩くのも愉しい。行く先々に金木犀があり、どの金木犀もあまい香を漂わせていた。金木犀も染井吉野と同じで、あれもあれも、みな姉妹なのだろうか。一斉に開花するような気がする。町は壱日で金木犀の香に包まれていた。
 大好きな安房直子さんの童話に「花のにおう町」と云う作品があったけれど、或の花は金木犀だった。初めて好きになった活字(童話)はあまんきみこさんの「車のいろは空のいろ」で、其処に出てくる夏みかんが本当に匂ってくるよう感じられた。「花のにおう町」にしてもそうだ。きっとこんな作品たちに出逢わなければ、あたしが文字や詩と云うものに惹かれることはなかったかもしれない。そしてもしかしたら、匂いや色や感触や些細なことに眼がいくこともなかったかも。
 金木犀の香は強過ぎて少し苦手だけれど、オレンヂ色の自転車に乗った女の子たちをあたしも見送りたく、これから幾日か町を歩き廻ることになるだろう。

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