日々の雑感、他愛ないこと。印のように記してみたり。日々の呼吸を此処に。 忍者ブログ

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秋刀魚の季節


 今年の秋刀魚は痩せている。そのせいか出始めから値もそれほど高くなく、今日で卓にあがったのは参度目だ。或のまるまるし、ふかふかした感触の秋刀魚を食べられるのはまた来年になってしまうのだろうか。今では腸もちゃんと食べられるようになったと云うのに。
 父が亡くなってから秋刀魚を食べる季節になると、必ず彼との会話を思い出す。焼き魚が卓に乗る都度、猫のように食べると笑われたけれど、腸を食べられるようになった分それよりも皿を汚さなくなった。今ならなんと言われるのだろうか。箸も未だにきちんと持てずにいるのに、正座も焼き魚も好きだなんて、箸の持ち方で親の育て方云々と批判する人は想わないだろう。人一倍神経質で厳しかったくせ、どう云うわけか食事のこととなるとおおらかと云うか大雑把と云うか、あたしの食べるのを笑って見ていた父だった。
 時々夕食後父の声を耳にするときがある。らくだからおまえも横になれ、と。さすがにそれはしないけれど、座卓に変えてから父は其れをするようになったのかもしれない。座卓にしたら或いは自分もするのだろうか・・・。
 秋刀魚の季節に脳裏に浮かぶ父はいつも愉しそうだ。

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