日々の雑感、他愛ないこと。印のように記してみたり。日々の呼吸を此処に。 忍者ブログ

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祭囃子がきこえる


 ビールやら烏賊やらを出した卓を越え、祭囃子が耳に飛び込んできた。花火大会があるかなと想ったのに、月末だと聞かされがっかりした。
 受け継がれてきたものも受け継がれていくものも知らない。いつも川は傍にあるけれど、それすらも流れが続くかどうかはわからない。子供の頃住んでいた村には昔大きな沼があったと聞いている。自分が知る頃には沼は既に沼でなく一面田圃に変わっていた。蒲の穂が生える低い土地と其れを分けるよう真ん中を貫く高い道が、面影を僅かに残しているだけだった。夏になると蛍が舞うと云うだけで其処が好きだったけれど、数年前埋め立てられたそうで今は其れも見られない。あんな大きな沼を変えてしまったのだもの、川もそうならないと誰が言いきれよう。
 其のときはよかったものが拾年後廿年後もよいと限らない。祭囃子の音を正確に、取り返しのつかないものの名を伏せながら時が進んでいく。窓を開け眺めても、其処には笛や太鼓どころか神輿を担いでいる筈の子供たちの姿さえみつからなかった。

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