日々の雑感、他愛ないこと。印のように記してみたり。日々の呼吸を此処に。 忍者ブログ

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 バスを下車した男性は振り向くと、バスに御辞儀をした。運転席からよく見えるとも想えず、運転手が見ていたわけでもない。胸の内に清々しい気持ちが生まれ、眠気で重かった頭は幾らか軽くなった。
 弐、参日前近所の小さな橋ですれ違った女性にも、同じような気持ちになった。ふたりとも自転車に乗っていた。遠くからでも女性が老齢と判ったので自転車の速さを歩くよりゆっくりにし橋を渡ろうとすると、女性は橋の手前で自転車を降りた。それで会釈し急いで渡ろうとすると、女性の方も会釈をした。橋を渡りきる辺りでもう壱度女性に会釈をしすみませんと声を掛けると、女性からも会釈とすみませんの言葉が返ってきた。もしかしたらあたしが渡り切るのを待つ為にだけでなく、橋の手前の僅かな段差に自転車を降りたのかもしれない。女性のまるまった背にそう想いながら、胸の内で気をつけてと声を掛け、橋を後にした。
 相手が自分に何か働きかけてくれれば、自分にも礼が出てくる。けれど、特にそうでなければそう云う気持ちにならない。バスを下車する際、一応礼の言葉は述べてはいるけれど、或の男性のような礼をしたことが自分にあったろうか。日常の中であたしが忘れ、埋もれさせているものは少なくないだろう。道を歩いていても、道幅いっぱいに歩く家族や談笑で夢中になっている会社員の男女たちの方に眼がいってしまいがちだけれど、当たり前のことをないがしろにしない人に眼がいく者になっていきたい。明日には此の想いを忘れてしまっても、いつかまた思い出せるよう日々を過ごしていきたい。

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