日々の雑感、他愛ないこと。印のように記してみたり。日々の呼吸を此処に。 忍者ブログ

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水蜜


 あまい桃の匂いが鼻に髪にくちびるにと溶けていくので頬をさわってばかりいた。桃の皮は陽射しを浴び変色を始めていたけれど、眼には秋の朝の霧をまとったような桃の薄くやわらかな赤い色がまだ残っていた。
 木々や草むらを抜けてくる風は涼しく微睡みを誘う。椅子にもたれたままいつのまにか眠ってしまったらしい。目を開けるとソファに両足を置き、同じようにおかあさんも眠ってしまっていた。
 義理の母とふたりでおやつを食べる時間が好きだ。健康がどうのと話しながら結局あまいお菓子を食べてしまう。食べるものが沢山あるって贅沢なことだと想うけれど、それでほんの少し倖せなような気持ちになれたりもする。
 同性同士、お菓子を置いた卓に向かい合って座り、居心地が悪いと感じてしまうなら、其れは何が悪いと云うでなくどうにも相性が悪いと云うことで、なかよくなることはない。
 昨日夕食後におかあさんとふたりして茹でた玉蜀黍を壱本づつ食べた。そのときの夫や義理の弟の少し呆れたような顔を思い出すと可笑しかった。

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