日々の雑感、他愛ないこと。印のように記してみたり。日々の呼吸を此処に。 忍者ブログ

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曼珠沙華


 雨の降る中、廻り道をした。曼珠沙華目当てに公園に行くと、丁度満開になっていた。焔をまとったような花だと想う。けれど特別激しさは感じない。いつしか憎しみの感情だけが自分から切り離されると、あとはみな同じような雰囲気や温度を持つもだのと想うようになった。それでも今もあたしが遠い眼をしているのに変わりないのだろうか。遠くへ遠くへと、描く風景に終わりは無く、武蔵野線の窓に覗く空を傘の向こうに想い浮かべていた。今日は此処にいる。此の場所も好きだけれど、やはり明日はどうなるかわからない。今日帰る場所は決して明日帰る場所にはならない。
 家に帰り、舌に残る薬の味を買ってきたあまいミルクティーと林檎のタルトで消した。茎を少しづつ切り持たせたひまわりもとうとう切るところがなくなってしまった。雨がいっそう気温を低くし、秋の色を濃くしている。臥せてからだいぶ時が経ったらしい。薬を貰いに行く必要ももうないだろう。こうしてあたしはまた人の中に戻っていくけれど、其れが自分が人である証になるとは言えない・・・。胸から顔を出した曼珠沙華に不思議がることもなくひとつ咳をすれば、夕闇が手に乗ってきた。今日は静かな夜になる。後のことは眠ってから考えよう。

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