日々の雑感、他愛ないこと。印のように記してみたり。日々の呼吸を此処に。

(6月からお休みしていましたが、再開しました。)
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小雨降る


 傘を持つのは久し振りだった。雨で世界が変わったと感じられる日が好きだ。余り高くても困るけれど、高目の湿度は気持ちいい。雨音の向こうに歌が流れていると感じた途端歌は耳の内で鳴りだし内側からあたしを撫でてくれる。そう想った或の瞬間に、あたしを縛っている形無い何かよくわからないものからあたしは解放され新しい道をみつけることができる。
 手足ばかりでなく、頭だの心だの神経でさえ、普段はあたしから遠くにあると想えて仕方ない。それでも感じ想ったことと記憶は自分のものだと想えるので、いちいち立ち止まることなく生活できるのかと想う。
 あたしは自分の躯を不思議なものだと想っている。性別がどうとか人間がどうとかでなく、躯そのものが不思議で仕方ない。取り敢えず一応は想う通りに動いてはくれるようだけれど、どれもこれも曖昧なものだと感じる。ただ、耳は違う。何かを介しているような感じが無く、直接音をあたしに教えてくれるものに感じる。だからあたしは耳には火を押し付けていじめてみたり、疑って刃物で傷付けたりしたことはない。
 雨の音を耳に入れていると空から此処に水脈ができたような気がして小川の橋に立ち、上を向いて空を眺めたりもする。時々滞ってしまったと想うものがあたしの心なのか血なのかなんだかわからないけれど、雨の降る日はさらさらと何か流れる音が自分の内にも聴こえている。

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