日々の雑感、他愛ないこと。印のように記してみたり。日々の呼吸を此処に。 忍者ブログ

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寒い壱日


 ふるえるほど寒い朝になった。膝掛けを出し、トレーナーのような厚いカットソーに毛糸のカーディガンを羽織り其の上に割烹着を重ねた。
 陽射しを吸っていないときの窓は曇り空と同じ灰色をしている。
 和室も洋室も台所も浴室もいつのまに冷気を吸い込んだのだろう。寒い日は卓も食器も鏡も歯ブラシも石鹸も・・・、みなよそよそしくなる。そんなにすました顔をしなくてもいいのにと想う。もしかしたら寒い日はあたしもそう云う顔をしているのだろうか。それとも、普段から喜怒哀楽の表し方がおとなしいそうだから、変わりなく見えるのだろうか。
 珈琲を入れた缶もカップもコースターも・・・、さわるとみなひんやりとしている。其れを言うと、彼らは口を揃えきみもだよと返事をしたように想えた。
 寒い日は脚に掛けた膝掛けの端に鉛筆を置く。雑記帳も置く。ひとかけのチョコレートと蜜柑の乗った皿も置く。布巾に包み林檎も置けば、新聞紙で折った屑入れも置く。そして、零すといけないので珈琲の入ったカップだけは別に置く。それに珈琲を入れたカップはぬくくもなっているから。
 みんなでまるくなっているのが好きなのは子供の頃から変わりない。ときどき鼻をすすってしまうのは風邪をひきそうになっているからでなく、猫だけが此処にいないから。・・・ああ、そうか、其れを知っていてみなよそよそしい顔をしあたしをそっとしておいてくれているのかもしれない。

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