日々の雑感、他愛ないこと。印のように記してみたり。日々の呼吸を此処に。

(6月からお休みしていましたが、再開しました。)
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啄木鳥を見た日


 ひなげしには間に合った。赤い色が陽に透けるのがきれいで太陽の方ばかり向いていたから灼けてしまったようで顔がひりひりしていた。
 腹が減り咽も乾き木蔭にシートを敷きしゃがんでいると、とんとんとんと樹木を叩く高い音が耳に入った。すぐには其れが何だか判らなかった。なにせ啄木鳥に逢ったのは初めてだった。もっと大きな鳥だと想っていたのに啄木鳥は案外小さな鳥だった。本当に嘴で樹木を、其れも結構響く音をさせ突くのだと、目の前の出来事に感心せずにいられなかった。
 自分と同じ人間以外の其れまで見たことのない生き物に普段の暮らしの中で出逢うと嬉しくなるのは何故だろう。此の家に越してきて百足を初めて見たときは、仰天した。もう弐度と遭遇したくないと想ったし、洗濯機を買い換え排水口がぴったり塞がったのでもう出てくることもないだろうし、恐怖感でいっぱいにはなったけれど、頭の片隅に初めて見た嬉しさもあることは否めない。生きていることや動いていることや命は簡素にあたしに働きかけてくる。
 啄木鳥にまた出逢えるだろうか。それとも此れが最初で最後だろうか・・・。家に帰るまで胸はいっぱいだった。

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