日々の雑感、他愛ないこと。印のように記してみたり。日々の呼吸を此処に。

(6月からお休みしていましたが、再開しました。)
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冬の朝


 加湿器に家人がエッセンシャルオイルを入れたのだろう。目覚めると部屋にライムの香が拡がっていた。
 朝は苦手。頭が重い。けれど朝は好き。其れが冬なら尚更のこと。

 薄い記憶しか持たないあたしが、最後に父が暮らした家の間取りをはっきり憶えている。裏口と浴室の間に置いた弐層式の小さな洗濯機の奥の窓が陽射しに染まるまぶしい冬の朝が、或の家のあたしの好きなものだった。浴槽の残り湯をバケツで汲み、洗濯機に入れる都度あがった湯気さえいとおしいと想っていた。表玄関の先にある塵置き場に大きなビニイル袋を引き摺るようにして持っていくとき、通りを走るかのように冬の低い陽射しがアスファルトを照らす様がまぶしく、其れだけで自分は生きているのだと感じられた。昨夜の味噌汁の残りで粥ばかり食べていた朝御飯が今となってはなつかしい・・・。
 ・・・なつかしい感情が息苦しくなるほど胸を締め付けるものだと知ったのはいつだったろう。父がいってしまってから知ったことは沢山あって数え切れない。
 気付けば冬の朝に父の記憶が拡がっていた。

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