日々の雑感、他愛ないこと。印のように記してみたり。日々の呼吸を此処に。 忍者ブログ

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公園にて


 公園の入り口には樹齢参佰年と云う大きな樹木が立っていた。其の奥には人工の池があり更に其の奥には樹木で作られた塔のようなものが立っていた。階段を上っていくと塔の真ん中には大きな箱のようなものがあり、赤く色付いた蔦が覆っていた。其の周りにはベンチが幾つかあり、青々とした繁みの向こうに知らない町が見えた。
 ベンチに座り、買ったばかりのグレープフルーツジュースを飲んだ。曇った日は冬のショートコートなしでは外にいられないのに、晴れた日は麻入りの薄いコートでも暑いくらいだ。空が真っ青なのが気になるようで、家人は幾度となく空へカメラを向けている。
 陽射しがまぶしいので、時々何も見えなくなる。一瞬白い光だけが眼の前に現れ、何か思い出しそうになるのだけれど、決して思い出せはしない。温まったベンチを撫でるうちいつのまにか腹を押し付けていた。そうしていると蜥蜴になったようで、このまま或の樹齢参佰年の樹木に棲むわけにはいかないだろうかと望んでは、影に戻される。
 そろそろ行くよ、と声を掛けられ、陽射しを遮る方向に立たれなければ蜥蜴でいられたかもしれないのに、と渋々階段を下りることになった。

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