日々の雑感、他愛ないこと。印のように記してみたり。日々の呼吸を此処に。 忍者ブログ

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バスの窓から


 真っ青な山並みが眼に映ったとき、脳裏に刻まれた青い色が記憶の底から浮かび上がってきた。晴れた日の穏やかな青空でなく、夏の日の雲の拡がる奥に覗く濃紺の空の色を何故たまらなく好きだと想うのか、やっと思い出したような気がした。バスが橋を渡り切り、振り向いても窓から山並みが消えてしまうまで、眼は真っ青な色を追っていた。
 連日の天気で川の水は嵩を増し、辺りはすっかり秋だと言うようにきいろいせいたかあわだち草と白い芒が群れを競うように咲いていた。きっとかあさんの住む家も、あたしたちが借りた家のように冷え初めているだろう。・・・其の分夏は涼しく、今年は助かった。
 停留所の手前で膝に乗せておいた麻の上着を羽織り足元に置いておいたリュックを背負うと、胸が高鳴ってくるのを感じた。もうかあさんの家の朝顔も終わってしまったろう。けれど、藍色はあたしの内で枯れることなく、これからも息づいているだろう。

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