日々の雑感、他愛ないこと。印のように記してみたり。日々の呼吸を此処に。 忍者ブログ

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ひまわり


 初めて逢う彼女はひまわりの花束を抱え待ち合わせの駅に現れた。家人と共通するでない自分だけが知る女性を招くのは、此の家に来て初めてだった。
 つきあいを規制していた。もともと心を開くタイプではなかったので、或の嫌な出来事がいっそう自分に鎧を着せた。鎧はいつか言われた魚の硬く黒い鱗だろう。あたしは壱度其の鱗をすっぽり脱いだのかもしれない。けれど別に脱ぐ必要は無かったのだと今ならわかる。或のとき硬く黒い鱗をきれいだと言われた。何らからの均衡を自身で作り出し危うさを突き放したところで人は生きているのではないだろうか。壱箇所に自分を持っていってしまうことは愚かな行為なのかもしれない。
 麦入りの御飯を美味しいと言いおかわりし、お茶でなく水が好きだと言い水を飲み、それから・・・、そう云う彼女と一緒にいるのは愉しかった。貰ったひまわりには全部彼女の名を付けた。其処にはあたしを散々苦しめた出来事に、笑みさえ浮かべられるようになっていた自分がいた。

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