日々の雑感、他愛ないこと。印のように記してみたり。日々の呼吸を此処に。 忍者ブログ

雨だれ


 傘の先から滴がこぼれ玄関の床の上を濡らしていた。傘立てはあるものの、使った傘でなく使う前のもので埋まってしまっている。
 玄関に棚を置いたのは正解だった。自分で作ったものなので背面の無いただの肆角い枠とは言えちょっとした物を掛けたりするには充分で、使った傘を掛けるにも手頃で具合がいい。
 使い辛い箇所をひとつづつ直して日々がゆく。此の家で過ごす弐度目の春を、其れ以上に夏を心待ちにしている。

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羊たちと


 何処かの動物園で羊が沢山生まれたニュースが耳に入った。そのときあたしはうんと濃い珈琲を口にし眠気を誤魔化しているときで、卓に乗せた腕を枕にカーディガンの袖口に耳を寄せると、羊になって羊たちと一緒に眠りたいと欠伸をした。
 羊になったなら、昼間は鬼ごっこして遊んで、夜は遊び疲れた躯を投げ棄てるように大地に放りぐっすり眠る。そうした中で学び、齢をとり、生きることを伝え死んでいく。椅子に座り机に向かう時間は少しでいい。
 呼吸をしたり血を感じたり風に吹かれたりし乍ら、できるだけ想いを馳せることをしていたい。

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寫眞展


 ふとしたことから知った方の寫眞展を観てきた。(峰崎野人「居所」/TAPギャラリーにて、19日迄)
 風景を写した静かな白黒の寫眞にすっと気持ちが入っていくと、陰影により形をはっきりさせたものたちの声にならないとても小さな声が耳に入ったような気がしてなんだろうと想っていると、寫眞の風景に風が現れた。風は昔住んでいた村を想い起こさせ、其の頃見たり聞いたり想っていたことを思い出させ、しだいに其れは頭の中で物語化し、最後は亡くなった父へと繋がっていった。
 一見地味とも想える寫眞は、一見し強く訴えてくる寫眞とはまた別な魅力がある。風景寫眞のように中景から遠景を写したものは、画の中にいろいろなものが入り込んでいる。入り込んでいるだけ、自分が入り込め、気持ちを引き出してくれる。其れはとても個人的なものでとても静かなものだけれど、しだいに熱を増すものでもあり、そうして一見し強く訴えてくる寫眞と同様寫眞に烈しいものを見たりもする。
 御本人が在廊されていてお話を伺うことができたのもよかった。表したり作ったり(表現に限らず野菜作りなどであっても)の話を聞くのはとても勉強になるし、真摯な気持ちにもなり、あとが清々しい。画廊を出て、扉の硝子越しにもう壱度御挨拶をと振り返ると、其の方は丁寧に深々と御辞儀をされていた。
 画廊への道は方向音痴よろしく辿り着くまでに壱時間掛かってしまったけれど、道を尋ねた通りがかりの人たちも交番で対応してくださった方も(弐箇所に立ち寄ったうち、特に美術館近くの交番にいらした年配の方は最後の最後まで探してくださりとても助かった。)其れは其れは親切にしてくださった。
 装わない。そんな気持ちを意識した日でもあった。

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胡桃色


 細長い白木を肆本使い、釘を打ち肆角く組み立てただけで玄関に置いたものにやっと手を加える気になった。白木を購入したのはふた月前だったろうか。
 最初釘が打てず、ネジをねじ込みなんとか形にしたもののネジが最後まで入っていかず頭がだいぶ飛び出していた。余程実家から玄翁を持ってこようかと想ったが気を取り直し、釘を変えつい最近組み立て直した。鉤釘を付け箒やちりとりを掛けると玄関が片付き家のこともし易くなったが、白木は其のままだった。
 今日はよく晴れ佰圓均一店まで出掛けると、急に或の白木のことが気になり、蜂の巣模様の網をふたつとフックをひと組、其れに籠も購入した。家に帰るやいなや白木に胡桃色のオイルステインの壱種のワックスを掛けた。掛けたと言っても布を使い薄く塗っただけなのですぐに乾き、乾くと上部の板の裏側に短いネジで網を取り付け其処にフックを使い籠を下げた。籠の中には雑巾を数枚入れた。
 胡桃色は古い木造の家によく似合う。三月。今年も仕切り直しをする時がやってきた。流れに乗るわけでもなく、抗うでもないのが自分に丁度いい。陽射しがだいぶ入るようになった家で、これからのことを決めていこうと想う。

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テーブルランナー


 予めカットされた綿と麻の混合の長方形の布を買い求め、端を茶色の絲で手縫いし、卓に掛けた。通常卓の幅に長い方を合わせテーブルランナーは使うものなのだろうが、逆にしてみた。其の方が都合よかった。
 台所の大きさからすれば卓はひとつ下のサイズになるのだろうけれど、家人の意見とベンチ付きを希望した自分との意見を兼ねると今の大きさの卓になった。卓は自然と壁に付ける形となり、壁側は収納を補うスペースになった。胡桃の樹が使われている卓の上には何も置きたくはなかったが、仕方ない。
 テーブルランナーは、卓を違った雰囲気に変えた。布は参佰捌拾圓で買ってきた。色あいの違うものを買ってきて、交互に使うのもいいだろうなと想えた。いつまで経っても簡単な裁縫しかできないままでいる。それでも結構暮らしは愉しくなるものだ。
 卓につき電気ポットの湯が沸くのを待ちインスタントコーヒーを淹れた。硝子瓶の蓋を開けると、開けたての珈琲の香りが卓に満ちた。今度の珈琲は苦みが強く、牛乳を入れて飲むには丁度よかった。

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